配偶者控除廃止での増税額は大半の世帯で最高4万円足らず、今回の増税額年11万円の半額にも満たない。
これでは主婦たちを働きに出させる逆インセンティブには到底なりえない。
かたや、厚生年金には三号被保険者制度というのがある。
おもにサラリーマンの専業主婦が該当するこの制度では、本来この主婦の分も保険料を徴収すべきところを過去の自民党政権が選挙目当てで、「亭主が妻の分も負担しているのだ(実は徴収は一人分だけ)」というわけのわからない屁理屈を厚生省の役人に考えさせて1986年以来まかりとっている理不尽なえこひいきに過ぎないというやましいものだ。
自営業者らからなる第一号被保険者については妻が専業主婦であってもその妻の分も負担させるのになぜこのような差別を行なうのか、また現代がそのような年金財源を減らす要因を存続させうるような生易しい時代でないことは、その財源確保を口実にしたたび重なる消費増税から見ても明らかなところだ。
厚労省としてもやましい制度であるということを示すかのように、女性が結婚した際に届出をしないと原則として三号被保険者ではなく、無保険者とするという落とし穴まで設けている。
これではひどいと、その「被害者」たちからの苦情がマスゴミや勢いのあった頃の野党に持ち込まれたものだからパッチワーク的に、届出すべきときの一定期間前から三号であったことにするという苦し紛れの特別措置など設けているがこれも時限的な措置。
自民の天下が続くうちに、無届=無保険に戻されるであろう。
この制度の恐ろしいところは、入るとき(結婚)だけではなく出るとき(離婚)も、放っておけば無保険になるということだ。
そのうえ再来年、10%への消費増税と合わせるように、週所定労働時間20時間以上、年収106万円以上のおもにパート主婦にまで保険料徴収範囲を拡大する。
着々と外堀は埋められているわけであり、三号被保険者制度廃止は時間の問題である。
これを廃止すれば年間で、労使折半負担の今でさえ、保険料の増負担額は年間50万円に達する。
配偶者控除廃止のざっと10倍以上の効果があって、主婦としても働きに出ざるをえなくなるのである。
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